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固溶化処理

固溶化処理

全自動仕組装置
主にオーステナイト系ステンレスに行う熱処理です。
ステンレスの加工や溶接などによって鋼材の内部に生じた応力を除去すること、劣化した耐食性の向上などの組織改善が目的です。

固溶化熱処理

適温に加熱・保持し、材料の合金成分(クロム炭化物・窒化物など)を固体(オーステナイト)の中に溶かし込み(固溶させる)析出物を出さないように急冷する熱処理のことです。
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304やSUS310Sが特に多い)に対して熱処理されることが多く、固溶化熱処理の目的は加工・溶接などによって生じた内部応力の除去や、劣化した耐食性の向上などの組織改善・組織構造の安定化のために行われます。

ステンレスの固溶化熱処理の温度は1000℃~1100℃で熱処理し、
アルミニウム合金では450℃~550℃で熱処理します。

加工硬化について

金属に圧延や鍛造などの冷間加工を加え、塑性変形をさせると硬さや強度が高くなり、加工が次第に難しくなっていくことを加工硬化といい、歪み硬化と呼ばれることもあります。
分かりやすい実例として用いられますが、針金を何度も折り曲げていると次第に針金は硬くなり、脆くなっていき、最後にはポキリと折れてしまいます。この現象のことを加工硬化と呼びます。

オーステナイト系ステンレス鋼が加工硬化すると、オーステナイト相がマルテンサイト相に変態し、本来であれば非磁性の材料が磁性を持ってしまったり、耐食性が劣化することもあります。
このような組織変態を改善するためにも、適切な熱処理、固溶化熱処理が必要になってきます。

鋭敏化について

オーステナイト系ステンレス鋼が、450℃~850℃の熱処理履歴を有すると結晶粒界にクロム炭化物が析出するため、粒界近傍のクロム量が低下し、耐粒界腐食性(耐食性)が低下することを鋭敏化と言います。
クロムは科学的安定性の高い元素のため、クロム含有量が減少することが耐食性の低下に繋がります。

簡単に言うと、ステンレスに対して不適切な熱が加わることにより、耐食性が悪くなる(腐食しやすくなる)ことを鋭敏化と言い、この問題を解決するためには固溶化熱処理が必要になってきます。
ワーク形状によっては歪みや変形が起こることもありますのでご注意ください。

オーステナイト系ステンレス鋼について

最も代表的なモノはSUS304になります。
SUS301・SUS302・SUS303・SUS310・SUS316等
3Dプリンターで使用されるSUS316Lも該当します。

オーステナイト系ステンレス鋼とは、18%のクロムと8%のニッケルを含む(SUS304が代表的な鋼種)常温でもオーステナイトの組織がフェライトに変化することがないステンレス鋼です。

オーステナイト系ステンレス鋼は、耐食性・延性・靭性に優れているほか、冷間加工性や溶接性も良好です。
基本的には磁性を持っていませんが、塑性加工を行ったときに磁性を持つ場合があります。
固溶化熱処理を行うことにより解決することができます。
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